前の記事でも触れたが、私はパワースポットが好きである。


言葉では説明できない、神、宇宙、霊魂、いにしえの人々の強い信仰心などの

未だ科学では解明しきれてはいないが、必ず存在しているとされる

「目に見えない力」

というものに、少なからず興味がある。



いきなり余談であるが、先日フライトからオフィスに戻ってきて、

自分のメールボックスを開けたところ、同期から


「ブログ見たけど・・・大丈夫?」


と本気で心配されている風な手紙が入っていた。



同期よ、安心しておくれ。


私は大丈夫である。


私はすこぶる大丈夫である。


もし、私が大丈夫でなかったら、


『明治神宮にある加藤清正の作ったとされる井戸をケータイで撮り、

待ち受け画面にすると、良いことがある』

と言う情報をテレビで得たさっそく次の日に、1人で閉園間近の明治神宮に駆け込み、

「清正の井」の写真を撮って、早速待ち受け画面にしてしまうという

ような正常な行為ができるわけがない。



なので、私はこの上なく大丈夫なのである。




明日出勤したら、「良い精神科を紹介する」という旨の手紙が入ってそうな気が

してしまうのは何故だろう。



話はそれたが、今回は、先日旅行で行ったイギリスの湖水地方で、

5000年もの歴史を誇るパワースポットに訪れ、その偉大なる力に

圧倒された話を書いてしんぜよう。

人気ブログランキングへ


にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ
にほんブログ村



今、「イギリス」が流行っているらしい。


日本の特に女の子たちが旅行先としてイギリスを選ぶ人が

増えているとのこと。


それは、雑誌「フィガロジャポン」やテレビ番組「世界弾丸トラベラー」などの

多くの媒体で取り上げられたことに大きく影響されていると思われる。

やはりメディアの力ってすごい。


まぁ、当のイギリスにとっちゃ、

「流行ってるってなんだよ」

てなところだろう。


国に流行りすたりなんてあったもんじゃないし、

18世紀には「産業革命」起こし、世界中にセンセーショナルな衝撃を

与え、今日でも、世界経済の中心の一旦を担う大国であり、

歴史ある国、それがイギリスなのである。


今さら、日出ずる国ジパングの若いおなごたちに、キャーキャー言われて

群がられても、


「今さら何だよ。」

「我が国の魅力に気づくの遅し!」


と一喝されてしまうのがオチだ。



だが、私たちは違う。

そんな流行に乗って、旅行先を選ぶなんて馬鹿げた価値観

の元にイギリスを渡航先に選んだのではない。


当初行く予定であった、ギリシアが季節的に難しいということが判明した
ための、

代替え案として、妥協策として、しょうがなくイギリスを選んだまでだ。


・・・となると、イギリスからしたら私たちの方が上記のおなごたちよりも

非常にタチが悪く、イギリスの心証を悪くしてしまう恐れがあるため、

どうか、イギリスには、いいや英国殿にはこの話は内密にしておいて頂きたい。

その上、私は「フィガロ」も「弾丸トラベラー」も大好きで、旅行の際、

大いに参考にしていることも内緒にしておいてもらおう。


今気づいたが、私こそが典型的なジパングのおなごであるようだ。


そんなことがきっかけで、(どんなこと?)私と、もう1人の同期は

イギリスへと旅立つことを決めた。


私より多く休みを取れた、同期は、

「私は一足先に行って、スコットランドの首都エディンバラで、

本場のスコッチウィスキーを堪能してくるわ!」

と可愛い顔して大胆なことを言い残し、先にイギリスへ渡ってしまったため、

現地集合という形で、2人のイギリス旅行は始まった。

今回私たちが訪れたのは、イングランドの首都「ロンドン」と、ロンドンから

鉄道で1時間ほど西のところにある、「コッツウォルズ地方」、そして、

これまたロンドンから鉄道で3時間ほど北上したところにある「湖水地方」

である。


どの場所もそれぞれの魅力があり、充分楽しめたが、

その中でも私が特に印象に残ったのが、「湖水地方」であった。



湖水地方は、イングランドの北西部に位置し、

その名の通り、大小様々な湖が点在し、壮大な山々や

豊かな自然に恵まれた、イギリス人のリゾート地として名高い場所である。


日本でいう、軽井沢や、熱海といったところであろうか。


この湖水地方を有名にしたのは、かの有名な詩人「ウィリアム・ワーズワース」や、

(かの有名な、なんて格好つけてみたが、彼のことは全く知らなかった。

最初はマザーグースかと思っていた。かといってマザーグースのこともよく知らない。

私は本当に何も知らない。)

名作「ピーターラビット」の生みの親である「ビアトリクス・ポター」が代表的であろう。



そんなイギリス人の昔から憩いの地、湖水地方


私たちが訪れた10月半ばは、もう既に冬の気候であった。

「霧のロンドン」という言葉のとおり(ロンドンじゃないけど)、イギリスは

年間を通じてくもりがちな日が多いとされているが、私たちが湖水地方にいる間、

寒くはあるが、非常に気持ちの良い晴天に恵まれたのは幸いであった。



湖水地方にはこれといって、何があるというわけでもない。けれど、


「何もないことの尊さ」


がそこにはあった。


美しく、雄大に横たわる自然と、美味しい空気、深い藍色に染まった

湖、そして、のどかに草をはむ羊たち・・・。



と、このような私の要領を得ない描写よりも、ここは手っ取り早く

湖水地方の魅力を写真によって、ダイジェストにお送りしてしまおう

と思う。



 湖水地方の旅の拠点となった『Winderemere』 ウィンダミア

         England Travel  Oct,2009 257

             

               美しい景色たち

          England Travel  Oct,2009 285

          England Travel  Oct,2009 296

            England Travel  Oct,2009 305

            England Travel  Oct,2009 358

            England Travel  Oct,2009 350

            England Travel  Oct,2009 433

             

             ビアトリクス・ポターの家

            England Travel  Oct,2009 336   

              

               ポターの愛した庭

            England Travel  Oct,2009 337

            

            ポターの愛した「ヒルトップの丘」

            England Travel  Oct,2009 346

               

                ウィンザー城
            England Travel  Oct,2009 349

                
                

                  羊たち

           England Travel  Oct,2009 447


           England Travel  Oct,2009 320


           England Travel  Oct,2009 418


あぁ、私の貧弱な文章表現と数点の写真では、湖水地方の魅力と、

そこで得た感動を充分に伝えることは難しい。


1泊2日の短い滞在であったが、非常に有意義なひとときを過ごせた

ことだけはお伝えしておきたい。


さて、冒頭の話に戻るが、ここ、湖水地方にもパワースポットが存在した。

それは

「Castlerigg Stone Circle (キャッスルリグ・ストーンサークル)」

という名のパワースポットである。



旅行に行く前から、「パワースポット狂い」の私はちゃんとチェックしていて、

「行きたいなぁ」

と思っていたのだが、湖水地方に着いてから駆け込みで申し込んだツアーに、

きちんと組み込まれていたので、

「しめしめ」

とほくそ笑んだのを今でも記憶している。



「ストーンサークル」と言っても、大学生や社会人らが、表向きは健全に

「スポーツで汗を流して親睦を深めようぜ!」

とうたっているが、その実、後に予定されている飲み会の方がメイン

となっており、

「あいつ、いつも飲み会にしか顔出さねーよなぁ」

と言われてしまうような輩が必ず数名存在する

いくぶんふしだらなサークルの方では決してない。



ストーン(岩)サークル(輪)である。


やれやれ、このようにちゃんと説明しておかないと、

「何々?そのサークル面白そう!会費はいくら?活動は第何日曜日?」

なんて問い合わせが来かねないので、困ったものである。

そして大概このような人たちが飲み会にしか顔を出さなくなるのだ。




紀元前3000年から、2000年の間に作られたとされるこのストーンサークル。

ツアー会社のワゴンに乗って、連れられて来たのは、小高い丘の上にある、

とても静かで、何とも神秘的な場所であった。

             England Travel  Oct,2009 385

             England Travel  Oct,2009 404

             England Travel  Oct,2009 388

             England Travel  Oct,2009 386
                       
             
             England Travel  Oct,2009 396
             
             England Travel  Oct,2009 401

        
        ストーンサークルの中心。草がはげてしまっている。
        皆することは同じのようだ。

             England Travel  Oct,2009 392



本当に静かなのである。


もちろん、観光客の話し声は聞こえるが、何だかそういう次元の話

ではなくて、まるで琴のように、ピンと張りつめた静けさというのか…。

うまく説明できないが、風の音すらも耳には入らなかった。




そもそも、どうして太古の人々はこんなことをしようと思い立ったのだろうか。

ここだけではなく、ミステリーサークルや、ナスカの地上絵など、世界中に多く存在する

様々な謎に満ちた場所。

どのような理由でそれらのものが作られたのか、未だ解明できずにいる場所。

そして、いくら年月を経ようとも、そしていくら科学が進歩の一途をたどっても、

おそらく、その謎は解明されることはないだろうと思われる場所。


この地球はそんな「謎」に包まれた場所が無数に存在する、


「地球って本当に神秘の惑星だなぁ」

と、このサークルを前にして、改めて痛感させられた。


そんなことを考えながら、サークルの中心に立ってみたり、岩と戯れて過ごした。



そんな私の感動が、地球規模にまで及んでいることも露知らず、

ツアーのガイド兼運転手のイギリス人男性が、私に耳寄りな情報を

教えてくれた。


「このストーンサークルを、反時計周りに一周すると、恋愛で良いことが起きるんだよ。」

と。



「なぬ!?」



予想外の情報であり、母国語ではない英語だったので、私は念のため聞き直した。

「えっと、時計回りではなくて、反時計回りで、間違いないよね?

それは『時計回り』の『反対』ってことだよね?Unti-Clockwise, right????」



と、特に「周り方」に重点を置いて、情報を再確認した。


だって、反対にまわってしまったがために、良い恋愛に恵まれないばかりか、

それとは関係のない日常生活においてまで、何だか恵まれない状況に

陥ってしまうのではないかと、非常に心配になったからである。


再度の確認で、「反」時計回りであることが確実となったため、

さっそく私は鼻息荒く、ストーンサークルを反時計回りに一周してみることにした。


張り切って何が悪い。


ネクラだって、恋がしたいのだ。



言われてもいないが、岩をひとつづつ触りながら一周することにした。


何だかそうした方が、ただ一周するよりも、より良いことがあるか、もしくはその良いことが

早く訪れるような気がする、というかなり都合の良い自己解釈の元に。


一つづつ岩を触りながら、ゴールが見えてきた。


「あぁ、ゴールが近づくに連れ、私の甘いロマンスも近づいてきているのね!」


と、今書いていて恥ずかしい程に、バラ色の希望で胸がいっぱいであった。



しかし、ストーンサークル一周のゴール寸前で私は急に立ち止まった。




「・・・私、どの岩からスタートしたんだっけ・・・」




そう。一周を開始した岩を覚えていなかったのである。



「今触れているこの岩が最後で、その隣の岩から周り始めたような気がするけど・・・

いや、その隣の岩だったような気もする・・・。」



私はひどく悩んだ。



別に一周すればいいのだし、少し余計に、二重にまわったとしても、何も問題はないはず・・・。

ないはずだと思うのだけれども、何だか丁度ちょーど!一周することで、

この願いが神に届けられるてはずが整う気がしてならないのである。



もしくは、一周まわったのに、誤ってまた同じ岩を触ってしまったと

同時に、急にあたりが暗くなり、天から稲妻がほとばしり、



「5000年におよぶ悪魔の封印を解いたのはおぬしか!

おぬしのせいでこの世界は破滅に向かう!ええい!愚か者めが!

消え失せるがよい!!」


と神が天から舞い降り、サークルの中心から悪魔が次々と飛び出して人々に襲いかかるのだ。

そして、誤って悪魔の封印を解いてしまった私は、神に天罰として地球から追放され、

宇宙の放浪者の身になってしまうのだ。


何て恐ろしい・・・。


世にも無残な映像が頭に浮かんで離れない。


ここで心配性のA型の性格が顕著に現れてしまうとは。(ここで「お前なんかと一緒に

してくれるな」と多くのA型の人からの反論が大いに予想される)。



だが、ここで一生立ち止まっているわけにはいかない。


二つに一つ。

「ラブロマンス」「宇宙の放浪者である。







「えいっ!」


と私は勇気を振り絞り、次の岩に触った。









そうしたところ・・・・・・・何も起きなかった。(起きるか)




天からの稲妻もなかったし、ストーンサークルの中心から

「フハハハハハハ」

と不適に笑う悪魔たちが次々と飛び出してくる様子もなかった。



やった!!!「ラブロマンス」が勝ったのだ!!!


「ラブロマンス」が悪魔たちに勝利した瞬間であった。


私は心の底から喜び、そして神の怒りに触れることを避けられたことに

心から安堵した。



そして、きちんと一周した私には、後はもう「ラブロマンス」しか待っていないのである。

なんて素敵な響きだろう。


「ラブロマンスが待っている」


なんて90年代に放送されていそうなドラマタイトルである。

主役はさしずめ、ミポリンといったところか。

何なら帰りにひょいっとパリに寄って、辻氏も同席の上で出演交渉でもしていこうか。




そんなこんなで、近い将来の「ラブロマンス」を勝ち得たストーンサークル

を始め、湖水地方は素晴らしい感動を私たちに与えてくれた。


本当に、この地を訪れて良かったと思う。



またこのイギリス旅行では、他のロンドンやコッツウォルズでも楽しく、

興味深い経験がたくさんできたので、また別の機会に紹介できたら、と思っている。




さて、イギリス旅行から帰って来て、早2ヶ月。


残念ながら、未だ私にラブロマンスは訪れていない。


まだその時が来ていないだけが、もしくは・・・やはり、余計にサークルを

まわってしまったために、神の怒りに触れてしまったのか・・・。


それは誰にもわからない。

これがホントの「神のみぞ知る。」である。




明日オフィスのメールボックスを開けたら、「良いカウンセラーを紹介する」という

旨の手紙が入っていないことだけを願うばかりである。 

 

あなたの清き一票を!おもしろブログランキングへ→人気ブログランキングへ

一日一票ご協力お願いします!→にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ
にほんブログ村