10月31日は「ハロウィン」である。


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今年の10月31日は、ホノルルステイだった為、

本場アメリカ合衆国にてハロウィンを迎えることとなった。


一緒にフライト予定の同期に、

「ねぇねぇ!やっぱりせっかくだから仮装しようよ!私仮装道具

持って行くからさ!そんでもってクラブに行ってはしゃごうよ!」

と提案されたネクラCA。


その時はその場のノリで

「面白そうだね。やってみようか。」

と一旦承知してみたものの、そこはネクラ。

後から後悔の念が押し寄せる・・・。





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いくら日本ではなく、自由の国アメリカで、とはいえど、

「仮装をして、クラブに行って、はしゃぐ」

という行為を、果たしてネクラな私に成し遂げることが出来るのだろうか。



まず、仮装は、まだ良い。

用意されたものを着るだけなのだから、今の時代ならチンパンジーでも

できよう。

志村どうぶつ園のパン君にだって朝飯前の話だ。


ただ、仮装の内容によっては、多少の恥じらいが邪魔するかもしれない。

万が一この体型で「キューティーハニー」の衣装を持ってこられた日にゃ

あ、私もそれを見る羽目になった方もただただ気の毒なだけである。


いや、でもそこは自由の国アメリカ。この国で生き抜くためには

そのような「ためらい」が大きな足かせとなる。自分の殻を破って、

今までの冴えない自分と決別するには、キューティーハニーに扮する

のもこれまた一考なのかもしれない。


そんなわけで自分の殻を打ち破ることで、仮装の件はクリアーするとしよう。



続いて、「クラブに行く」だ。

中年男性が好きな、ちょいといやらしさが漂う、あの「クラブ」ではない。

語尾の上がる、若者たちが集うとされる、あの「クラブ」である。


実は私、今の今まで一度もそのクラブとやらに行ったことがない。

あ、一度だけ、カナダのワーホリ中に、友人に連れられゲイクラブに

行ったことがあるが、失神するほどの衝撃であった。生涯忘れ得ぬ

光景になったことは間違いない。


まぁいい。ゲイクラブなんかよりも、今は語尾の上がる「クラブ」だ。


「行く」という行為だけであれば、場所がわかっていれば、その距離に応じて、

徒歩なり、タクシーなりの移動手段を使えば目的の場所に到達できる。

私はもちろん語尾の上がる「クラブ」の存在場所なんて知る余地もないので、

そこは同期が何とかしてくれるだろう。

そもそもネクラな私が、語尾の上がるクラブのことなど知っているわけが

ないと彼女も堅く信じているだろうし、それは大いに当たっているのが少し悲しい。


これで、「クラブに行く」もクリアー。




最期の「はしゃぐ(クラブにて。)」

これが問題だ。


みな「クラブ楽しい!!」と口々に言うけれど、何をもって「楽しい」

と感じるのだろうか。

私は行ったことがないのであくまで想像の世界だが、私にとっての

「クラブ」(語尾の上がる)とは、

「ガンガンと音楽が鳴り響く薄暗い空間で、多くの若い男女がひしめき合い、

踊り、酒を飲み、あわよくば一夜のアバンチュールを目論む男が

女に声をかけてみたりする、大概地下にある場所。」

となるのであるがいかがだろうか。


「まぁおおむねそんな感じだよ」

とか

「クラブによるね」

とか

「おめークラブなめんなよー。クラブはチョーサイコーなんだぜー。」

など賛否両論様々な意見が寄せられるかもしれないが、

一回も足を踏み入れたことのない、これが私のイメージなのだからご容赦願いたい。


とにかく、クラブに行ったは良いが、「はしゃげる」自信がない。


まず、踊れない。世界中見渡せば踊りの種類なんて幾多もあるだろうが、

そのうちの一つすらも、この私には身についていない。

「ルンバ」や「マンボ」だって踊れないうえに、その区別すらつかないのだ。

まぁ、仮に「マンボ」を踊れたとしても、語尾の上がるクラブで自分の

「マンボ」を生かせるかどうかは、クラブもマンボもどういったものなのか

わからない私には、知るすべもないが。


あ、今同期の結婚式の余興のために、「Perfume」の踊りに

挑戦しているが、あんなので良いのだろうか。

でもPerfumeは、3人揃って初めてPerfumeであって、

「あーちゃん(私)」だけではダメなのだ。「のっち」も「かしゆか」もいて

初めてPerfumeなのだ。

その上、私はまだ到底あーちゃんには及ばず、練習中鏡に映るその姿は

まさしく苦しげにのたうっている「トド」の段階であることを付け加えて

おこう。

果たして、トドからあーちゃんに華麗なる変身を遂げることができるのであろうか。

せめて披露宴当日はセイウチぐらいにはなっていたいものだ。



話はそれたが、Perfumeもダメとなると、いよいよ私が語尾の上がる

クラブにおいてはしゃぐことは、非常に難しいと見えた。

それなら語尾の上がらない、多少いやらしい「クラブ」の方が、まだはしゃ

げる自信がある。



以上の理由から、

「ねぇ、やっぱりごめん。ちょっと私クラブではしゃげる自信ないし、

仮装してクラブに行くのはやめようと思う。」

と、同期に正直に告げた。


そうしたところ同期は、

「うん、わかった。じゃあさ、仮装だけでもしてご飯食べに行こうよ。」

と、妥協案を提示してきた。

うーん。仮装だけなら、たぶん大丈夫か。

新しい自分へと一歩を踏み出すシミュレーションもちゃんと出来たし。


「うん、じゃぁ仮装だけして、ご飯を食べに行こう。」

と、私は同期と約束した。


フライト当日。

約7時間弱の飛行を終え、無事にホノルルに到着。

日本を夜に発って朝に着くので、まずは仮眠。といっても私は

7時間ぐらい寝るので、仮りの眠りではなく、本気の眠りである。


そして約束した午後四時に、同期の部屋を訪れた。


同期が用意してくれた衣装は

「バニー(うさぎ)の耳」のカチューシャと

毛糸で作った「バニーのしっぽ」であった。


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カチューシャは私御用達の店であるダ○ソーで。

しっぽは、彼女が毛糸で作ってくれたのだ。しかも私がさっき深く眠って

いる間に、スーパーに行って毛糸を買ってきて、である。


ハロウィンに対する彼女の健気な努力と一生懸命さに、キュンとなった。

もし私が男なら、「キュン」どころか、「ズキュン・ドキュン」となって

恋に落ちてしまうかもしれない。


男が恋に落ちる瞬間を疑似体験したところで、いよいよ

仮装をしてみることにした。





・・・・・・楽しい。



耳を付け、しっぽをつけ、そしてよりうさぎらしくしようと

鼻の頭を口紅で赤く塗り、眉墨でひげも書いてみた。

ひげは小さく書いてしまったが為に、一見ネズミのようだが、

そこは長い耳と白いしっぽが

「あたしウサギに決まってんでしょ」

と強気で主張してくれているようで心強い。

そう。ネズミなわけがない。私はウサギなのだ。何が面白くて

ハロウィンにネズミになろうとする奴がいるだろう。



そしてとうとう、浮かれ気味の私たちは外に出てみることにした。

最初は、

「本当に仮装なんてしている人いるのかな・・・。実はそんなこと

する人誰にもいなくて、『気のふれた東洋女2人組』が歩いている

って思われたらどうしよう。」

なんて心配していたが、一歩外に出てその不安は一気に吹き飛んだ。

というか、仮装していない方がおかしいのではないかと思われるほど

皆が皆、思い思いの仮装をしていた。


定番の魔女、ドラキュラなどを始め、クレオパトラや、フランケンシュタイン、

私たちの仲間、バニー(こっちはもっと本格的)もいた。



そして特に子供たちがとても可愛かった。
   
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プリンセスやティンカーベル、スパイダーマンなど、大人顔負けだ。

親もかなり力を入れてハロウィンという行事を盛り上げようと

頑張っているのだな~と感心してしまうほどであった。


そんな華やいだ雰囲気の中を、私たちは2人、ルンルン気分で

歩いた。ルンルン気分の「ルンルン」って何だろう…なんて以前

考えたこともあったが、そんなことはどうでもよい。今のこの気持ちを

「ルンルン気分」と表さずしてなんと表そう。

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あぁ、自分の殻を打ち破るって素晴らしい。


過去の冴えない私、さようなら。

新しくキラキラ光る私、こんにちは。



アメリカという国におけるハロウィンという行事によって、

新たな自分が開花した喜びを噛みしめつつ、私たちは

夕飯の場所、韓国料理屋へと向かった。


15分ほど歩き、様々な仮装を眺めては楽しみ、また、自分たちも

彼らの仲間であることに喜びを感じながら、ようやく目当ての

韓国料理屋に到着した。


「ここではどんな仮装が見られるのだろうねっ」

と、私たちは、韓国料理屋で地元民たちが仮装をしながら

韓国料理を堪能している姿を想像し、また若干滑稽に見えるであろうそ

の光景に「クスッ」と笑いながら、期待に胸をふくらませて一歩足を踏み入れた。




・・・・・・




「だーれも仮装しておらへんがな。」




皆、普段のフツーの格好で、淡々と韓国料理を口に運んでいる。

そして店員(韓国人)もシラーっとした視線でこちらを一瞥し、

私たちのバニー姿に関しては一切触れずに、「ここに座れば?」

と言わんばかりに無言でメニューを端のテーブルに置いた。



静まりかえる店内。

淡々と料理を食べる客。

そして立ち尽くす浮かれた二匹のウサギ。



今思い出しても非常にいたたまれない。


今日はハロウィンで、ハロウィンでは何故か仮装をすることが決まっていて、

日本人だからよくわからないけど、その暗黙の了解に則って、仮装を

を試みたのだから、私たちは何一つ間違っていないはず。


それなのに、何だろうこのいたたまれなさは。

その法則は、いかにハワイと言えど、韓国人のやっている韓国料理屋では

通用しないというのか。

それならそうと、店の前に「仮装お断り」とか「仮装はご遠慮ください」とか、

そういった張り紙を出しておいてほしい。

いや、彼らも別に断っている訳ではないのかもしれないが、他にもいるであろう私たちのような

ハロウィンだけれども韓国料理を楽しみたい!と思うハロウィン初心者に、

浮かれて仮装をしたままうっかり足を踏み入れ、同じような思いをさせてまうのは何とも心が痛い。


今後、ハワイの地でハロウィンを経験される方々にご忠告しておく。


いくら外が浮かれ気分でも、屋内は必ずそうとは限らないので、

入店する際には、窓越しに店内の様子を確認されることをおすすめする。

特に、韓国人の移民の人がやっている韓国料理屋は要注意だ。

さもないと、私たちのように冷たい視線を浴びせられ、いたたまれない

気持ちになること請け合いだ。



とりあえず、引くに引けない私たちは仮装をしたまま韓国料理を食べることにしたが、

まず椅子に座る際、邪魔になるということでしっぽは外され、

さらに、食べるときにずり落ちるという理由で耳のカチューシャも外された。

残されたのは、顔に書かれたネズミのようなひげと、赤くぬられた

であった。何のこっちゃである。「とんだピエロ」とはまさしくこのことだ。


同期の顔を見て、笑いそうになったが、彼女がそうであるということは

私もそうであるということで、要するに私も「とんだピエロ」状態なのである。


そんな2人が韓国料理を食らう…。



あぁ、今こそ「気の触れた東洋女2人組」だなぁ・・なんて思いつつ、

ビビン麺をすするネクラCAであった。


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